こんにちは。
企業の方々、メディア関係者、フリーランサー、サラリーマン、学生、主婦といった多様な方々と食を共にした中で得た「成功と出世の糸口」をこのマガジンをお読みのみなさまだけに伝えさせていただきます。
今回も、お楽しみいただけましたら幸いです。

一輪挿しの花のごとく

街を行き交う新入社員が初々しく目に映る季節となりましたね。以前、このコーナーで「新入社員の心得」のようなものを書きましたが、それに引き続き「新入社員に教えたい接待の心得」を書きたいと思います。

さて新入社員のみなさん、学生時代にもコンパなどでお酒を飲む機会はあったでしょうが、会社に入ってから飲むお酒･･･、特に接待の席で飲むお酒というのは、酒であって酒でないということをよく覚えておいて下さい。入社したての４、５月にはあまりないでしょうが、先輩と一緒に客先を回るようになり、少し仲良くなった取引先の方などと初めて一緒に飲むシーンがあったとします。

「えー、社長飲めないんですか？もうちょっと飲みましょうよー。
　じゃ、私、山崎をボトルで入れてもらってもいいですか？
　乾杯しましょう。かんぱ〜〜〜い！！」

という元気な新入社員。
元気で楽しいのは結構なのですが、接待というのは商談をスムーズに進めるために、お客様とほんの少しだけ仲良くなったり情報をいただいたりする場ですので「ただ酒」を楽しむ場ではないのです。
「接待＝会社のお金だから、自分が日頃飲めない高いお酒を飲んでやろう」とばかりに自分がぐでんぐでんになるまで酔っぱらってしまって、相手の方に不快感を与えるのは論外ですが、そうでなくてもあまりに元気に自分の話ばかりしたり、料理のうんちくを語ったりでは相手の方のお話がゆっくり聞けずに、本来の接待の意味が果たせないことがあります。

すると「接待に連れて行って成績につなげてやりたいけれど、彼（彼女）は酒癖が悪いので、お客様との話が出来ないから…」と、そういう席に駆り出されなくなり、情報が回ってこなくなる可能性が高くなります。

またたまにあるのが、別の客先であった面白い失敗談や、取引のときのエピソードをついうっかりしゃべってしまうこと。お酒で気が大きくなるせいだとは思うのですが、上司が苦い顔をしていても気づかず、ペラペラと話し続けてしまうことがあります。たとえ秘密事項ではないような当たり障りのない話だったとしても、相手のお客さまにとっては「自分のところの情報もこうやって別の客先でペラペラ話されているかもしれない」という不信感につながることもありますので注意が必要です。

新入社員が接待に連れて行かれる時には、決して話の主役になることは望まれていないのです。玄関の片隅においてある一輪挿しの花のようにしおれては困るけれど、デーブルの真ん中で主役を張る大輪の花でもない、という立ち位置をきちんとわきまえていることが出世のコツではないでしょうか。