こんにちは。
昨年の年間ベストセラーに、『Ｂ型自分の説明書』をはじめとするＡ型、Ｏ型、ＡＢ型すべての「説明書」がトップ10入りをしました。心理学や統計学などに基づく本格的な血液型分析ではなく、いわゆる“あるあるネタ”を羅列した娯楽性の高さがウケたのでしょう。とはいえ、多くの人が「あるある！」と支持する要素はある種の傾向です。それが血液型であれ細木数子の六星占術であれ、傾向を知って対策を立てる意味では顧客心理を分析するひとつの目安にはなるかもしれません。

営業マンのなかには、自分なりの「顧客分析あるあるネタ」を持っている人がいます。例えば、住宅販売のトップセールスマンであるＮさんは、顧客の兄弟姉妹の構成から性格を分析するそうです。多くのお客さんと接してきた結果、血液型のような持って生まれた“気質”よりも育った環境で育まれた“性格”のほうがより的確だ、という持論に至ったようです。

口癖から相手の性格を探る人もいます。癖は習慣の産物ですから、よく使う口癖には何らかのメッセージ性があると考えるのは間違っていないでしょう。
例えば「そちらもビジネスでしょうから」。要するに「ビジネスライクでいきましょう」という意味ですね。この手のタイプには要求が明確な場合が多いようです。あらかじめゴールを見据えているので余計な気遣いや根回しはいりません。必要なのは、相手の要求水準を満たせる用意があることを“理論的”に提示すること。商談は理詰めで展開させたほうが有利だろうと思います。
逆に、“フィーリング”タイプの口癖は「私はこういうのがいいんだよね」。個人の欲求レベルで話を進めるので、自分のフィーリングに合うまで納得しない面倒な顧客かもしれません。折り合いがつくまでは時間がかかるでしょうが、相手のツボを押さえることができれば浮気はしません。

なかなか本音を言わない人も面倒な顧客です。本音と建前を使い分けるので、「私の立場では●●としか言えませんね」が口癖でしょう。ビジネスの場で本音を聞き出せないならば、相手のプライベートに潜り込むしかありません。ゴルフ好きならゴルフの場で、お酒好きならお酒の席で。勝負はアフターファイブです。
「その道のプロにお任せしますよ」と相手を尊重するような口癖を真に受けてはいけません。「お任せする」と言いながら求めているものはかなり高度です。しかも、結果が自分の想定内だとあからさまにガッカリします。この手のタイプとビジネスをするなら覚悟してかかったほうがいいでしょう。なかなか手強い相手です。
手強さで言えば、「誰でもミスはします。気にしないでください」と、失敗や謝罪に寛大な気持ちを示すのが口癖な人はさらに手強い相手かもしれません。失敗は仕方ないと認める分、成果物に問題があれば容赦しないからです。万が一、トラブルになれば、徹底して追及するのがこのタイプの特徴です。
意外と分かりやすいのが、「死ぬ覚悟でやってください」的な口癖です。一見、非常に過大なものを要求しているようで、実はやる気を見せてほしいという気持ちの現われだったりします。このタイプには余計なことを言わず、「死ぬ気で頑張ります！」と応えるだけで満足してくれることが多いようです。

ところで、あなたの口癖はなんでしょう。人は自分の言葉に引きずられる面があります。「楽しい！」が口癖の人と「つまんない」が口癖の人では、どちらの人生が上向きそうか考えるまでもありません。
景気後退のなか、重苦しい雰囲気で始まった2009年ですが、せめて口癖は明るくいきたいものですね。